【結論】
相続した実家の出口は、貸す・仲介で売る・買取で売るの3つです。どれを選ぶかは好みではなく、①いつ現金が必要か ②家賃で改修費を回収できる立地か ③手間と時間をどこまで引き受けられるかの3つで決まります。「空き家のまま持ち続ける」は選択肢ではなく、判断の先送りです。
この記事でわかること
- 相続した実家の出口は3つしかないこと
- 3択を分ける判断の順番
- それぞれが向いている場合と、向いていない場合
- 買取が安くなる理由と、それでも買取を選ぶ人がいる理由
- 決める前に必ず確認すべき税の分岐
相続した実家の選択肢は、結局いくつありますか?
3つです。貸す・仲介で売る・買取で売る。この3つ以外はありません。「空き家のまま持ち続ける」は選択肢に見えますが、判断の先送りです。
先送りにも費用がかかります。固定資産税は毎年発生し、建物は傷み続けます。市区町村から管理不全空家等として指導を受け、それに従わず勧告まで進むと、住宅用地の特例が外れます。固定資産税の負担が上がります。
国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査(2025年8月公表)では、空き家の約6割が相続で取得されたものです。多くの方が、決めきれないまま持ち続けています。
どれを選ぶかは、何で決まりますか?
3つの軸で決まります。①いつ現金が必要か ②家賃で改修費を回収できる立地か ③手間と時間をどこまで引き受けられるか。この順番で考えると迷いません。
- ①いつ現金が必要か:相続税の納付期限、施設の入居一時金、兄弟間の分割など、期限が決まっているお金があるか
- ②家賃で改修費を回収できるか:水回りや給湯器を直す費用を、その地域の家賃で何年で回収できるか
- ③手間と時間:入居者対応や修繕の判断を引き受けられるか。遠方に住んでいないか
①に明確な期限があるなら、まず売る方向で考えます。①に余裕があり、②が成り立つなら、貸すほうが総額は大きくなります。
「貸す」が向いているのはどんな場合ですか?
現金化を急いでおらず、改修費を数年で回収できる地域にある場合です。都心や近郊のように家賃水準が高いエリアでは、同じ工事でも回収年数が短くなります。
向いているのは、次のような場合です。
- すぐに現金が必要な事情がない
- 建物に大きな傷みがなく、水回りの更新程度で貸せる
- いずれ自分や家族が住む可能性を残しておきたい
- 土地に将来性があり、今は手放したくない
逆に、向いていない場合もはっきりしています。家賃が低い地域では、改修費の回収に十年単位でかかります。その間に外壁や屋根の修繕が発生すれば、収支は簡単に逆転します。空室期間も計算に入れる必要があります。
「貸せば得をする」わけではありません。 数字が合うかどうかを先に確認してください。
なお、2027年度には空き家を改修して貸す事業者向けの優遇融資が始まる方向です。ただし予算の概算要求の段階で、まだ確定していません。詳しくは空き家のリノベに国の優遇融資が入る話をご覧ください。
「仲介で売る」が向いているのはどんな場合ですか?
手取りを最大にしたい場合です。買主を市場で探すため、買取より高く売れるのが一般的です。その代わり、売れるまでの期間が読めません。
向いているのは、次のような場合です。
- 売却の期限に余裕がある(半年以上)
- 立地がよく、買い手が見つかりやすい
- 内見のたびに現地を開けられる、または任せられる
- 価格を優先したい
注意点は、売れない期間の負担です。売り出してから時間が経つと、値下げの相談が繰り返されることがあります。その間も固定資産税と管理の手間は続きます。
結果として、半年から一年を費やしたうえで買取に切り替える方は珍しくありません。最初から期限を決めておくことをおすすめします。「◯月までに売れなければ買取に切り替える」と先に決めておくと、判断が遅れません。
「買取で売る」が向いているのはどんな場合ですか?
早さと確実性を優先する場合です。不動産会社が直接買うため、価格は仲介より下がります。その代わり、内見や片づけが不要で、時期を自分で決められます。
向いているのは、次のような場合です。
- 期限が決まっている(相続税の納付、施設の費用、分割の期日)
- 遠方に住んでいて、何度も現地に行けない
- 家財が大量に残っていて、片づける時間も気力もない
- 近隣や親族との関係で、売り出していることを知られたくない
- 再建築不可や境界未確定など、一般の買主が敬遠する事情がある
価格が下がる理由を正直にお伝えします。 買い取る側は、その後の改修費・保有期間の固定資産税・再販できないリスクをすべて引き受けます。その分が価格に反映されます。安く買い叩かれているのではなく、引き受けるものが違うという構造です。
急がない、手間もかけられる、という方には仲介をおすすめします。買取は「早さと手間のなさを、価格で買う」選択肢だと考えてください。
決める前に必ず確認することはありますか?
3つあります。名義・残置物・税の分岐です。特に税は、貸した時点で選択肢が消えるものがあるため、貸す前に確認してください。
1. 名義が今の代になっているか
祖父母の代で止まっていると、貸すことも売ることもできません。相続登記は2024年4月から義務化されています。
2. 残置物をどうするか
家財が残ったままでは、賃料査定も売却価格の査定も精度が出ません。ただし買取の場合は、残置物ごと引き受ける形にできることもあります。
3. 税の分岐(これが一番大きい)
相続した空き家を売却したときの譲渡所得の特別控除があります。この特例は、相続の時から売却の時まで、事業・貸付け・居住のいずれにも使っていないことが要件です。つまり一度貸すと使えなくなります。相続人が一時的に住んだ場合も同じです。
期限は2つあります。2027年12月31日までと、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。早いほうが期限です。建築時期や譲渡価額などの要件もあります。使えるかどうかで手取りが大きく変わるため、貸すと決める前に税理士へご確認ください。この特例の詳細は貸すと3,000万円控除はどうなるかで解説しています。弊社では、領収書や契約書の取りまとめまではこちらで対応し、税務の判断は提携税理士へお繋ぎしています。
A‑Lifeに相談すると、何をしてもらえますか?
弊社は貸す・仲介で売る・買取の3つとも受けられます。どれが合うかを先に一緒に確認してから進めるので、出口を決めてからご相談いただく必要はありません。
弊社はこれまで、東京都心の区分マンションと海外赴任中のオーナー様の管理を主力としてきました。管理を任せていただいているオーナー様の多くが海外赴任中です。海外にいるまま貸し出しから管理まで進めた経験が、遠方にお住まいの相続人の方にも活かせると考えています。
そのうえで、進め方を2つお約束します。
1. まず現地を見ます
見たうえで「貸すのは難しい」「仲介では時間がかかる」とお伝えすることもあります。それでも、写真や住所だけで結論をお伝えすることはしません。
2. 3つの金額を並べてお伝えします
貸した場合の想定賃料、仲介で売った場合の見込み額、買取の場合の金額。この3つを並べてお伝えします。どれか1つだけを勧めることはしません。
金額を見比べてから決めていただけます。
まとめ
相続した実家の出口は、貸す・仲介で売る・買取で売るの3つです。好みで選ぶものではありません。いつ現金が必要か、家賃で改修費を回収できるか、手間をどこまで引き受けられるかで決まります。
急ぐなら買取、手取りを優先するなら仲介、数字が合うなら貸す。この順番で当てはめれば、選択肢は自然に絞られます。
一番避けたいのは、決めないまま持ち続けることです。固定資産税は毎年かかり、建物は傷み、選べる出口は年々減っていきます。貸すか売るかを決める前に、まず名義・残置物・税の分岐の3つを確認してください。それが、どの道を選んでも必要になる準備です。
よくある質問
Q1:買取だと、いくらぐらい安くなりますか?
A:物件の状態と立地によって変わるため、一律の目安はありません。再建築不可など一般の買主が敬遠する事情があると、差は大きくなります。
Q2:仲介で売り出してから、買取に切り替えられますか?
A:できます。ただし売り出し期間が長いほど市場での印象は悪くなるため、最初に期限を決めておくことをおすすめします。
Q3:兄弟で意見が割れています。どうすればいいですか?
A:まず名義を確定させてください。共有のままだと、売却には共有者全員の同意が必要です。賃貸も契約の期間によって必要な同意の範囲が変わります。分割の方法で税の扱いも変わるため、早めに専門家を入れることをおすすめします。
Q4:遠方に住んでいても進められますか?
A:進められます。弊社では海外にお住まいのオーナー様の契約を電子で完結した実績があります。国内の遠方であれば、さらに負担は少なくなります。
Q5:貸すと決めたら、いつまでに何をすればいいですか?
A:名義の確認、残置物の搬出、現地確認と賃料査定、改修範囲の決定、募集開始の順です。残置物に一番時間がかかるため、最初に着手してください。
Q6:まだ売るか貸すか決めていませんが、相談できますか?
A:できます。決まっていない段階のご相談が一般的です。現地を見たうえで、3択それぞれの見込みをお伝えします。
Q7:東京以外の物件でも相談できますか?
A:弊社の対応エリアは東京都心とその近郊です。エリア外の場合は、その旨を最初にお伝えします。
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