【結論】
使えなくなります。一度でも人に貸すと、この特例は適用できません。 貸すか売るかを決める前に、必ず確認してください。
そもそも、どういう特例ですか?
相続した空き家を売ったときに、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例です。ただし相続人が3人以上いる場合は2,000万円になります(令和6年1月1日以後の売却)。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
譲渡所得にかかる税額が大きく変わるため、相続した実家を売る場合に最も効く制度のひとつです。
貸すと使えなくなるのは、なぜですか?
相続の時から売却の時まで、事業・貸付け・居住のいずれにも使っていないことが要件だからです。貸した時点でこの要件を満たさなくなります。
見落としやすいのは、貸付けだけが対象ではないという点です。
- 人に貸した(賃貸・一時的な使用を問わず)
- 事業に使った
- 相続人が一時的に住んだ
このいずれかに当てはまると使えません。「空き家のままにしておくのは忍びないから、しばらく自分が住んだ」という場合も対象外になります。
期限はいつまでですか?
2つあり、早いほうが期限になります。 ひとつは2027年12月31日まで。もうひとつは、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。
たとえば2024年に相続が発生した場合、3年を経過する日の属する年は2027年なので、その年末が期限です。一方、2020年に相続していれば、3年の期限はすでに過ぎています。
「2027年末まで余裕がある」と考えると間に合わないことがあります。 ご自身の相続がいつだったかを起点に数えてください。
このほかにも複数の要件があります。建築時期(昭和56年5月31日以前に建てられたもの)、譲渡価額が1億円以下であること、区分所有建物でないことなどです。
見落としやすいのが建物の現況です。古い時期に建てられているだけでは足りず、売却時に耐震基準を満たしているか、建物を取り壊している必要があります。
貸すと決める前に、何をすればいいですか?
この特例が使える物件かどうかを先に確認してください。 使える物件を貸してしまうと、後から取り戻せません。
判断の順番は次のとおりです。
1. この特例の要件を満たす物件か確認する
2. 満たす場合、売った場合の手取りを試算する
3. 貸した場合の収支と比べる
4. そのうえで貸すか売るかを決める
順番を逆にすると、選択肢が一つ消えた状態で判断することになります。貸す・売るの決め方そのものは相続した実家の3択の決め方で整理しています。
A‑Lifeはどう対応していますか?
貸すご相談をいただいた場合でも、この特例の確認を先にお願いしています。 貸したあとで「売ったほうがよかった」となる事態を避けるためです。
弊社では、領収書や契約書の取りまとめまではこちらで対応し、税務の判断は提携税理士へお繋ぎしています。個別の税額計算は税理士の領域ですので、弊社で行うことはありません。
貸す・売る・買い取ってもらうのどれになっても、まずは現地を見てご相談を受けています。
まとめ
相続した空き家の3,000万円特別控除(相続人が3人以上なら2,000万円)は、一度貸すと使えなくなります。要件は「事業・貸付け・居住のいずれにも使っていないこと」で、相続人が一時的に住んだ場合も対象外です。
期限は2027年12月31日と、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日の早いほうです。
貸すか売るかは、この特例が使えるかを確認してから決めてください。順番を間違えると、選択肢が一つ減ります。
なお、具体的に使えるかどうかの判断と税額の計算は税理士の領域です。必ずご確認ください。
ご自身の数字で試せます
3,000万円の控除を使った場合、手元にいくら残るのかは、売却価格とローンの残りを入れると概算が出せます。
貸す・売るの計算(無料・入力不要でその場で試せます)
貸した場合と売った場合のどちらがよいかは、物件とご事情によって変わります。ご相談・査定は無料です。