【結論】
国が2027年度に、空き家を改修して貸す事業者への優遇融資を始める方針です。金利も要件も未定で、枠組みが固まるのは2026年末。今やるべきは制度を待つことではなく、名義・残置物・境界を片づけて「動ける状態」を作ることです。
この記事でわかること
- 2027年度の優遇融資で、決まっていることと未定のこと
- 「直せば貸せるのに直せない」が起きる理由
- 制度を待つ間にやっておく3つの準備
- 貸すことを選ぶと税制で変わること
空き家をリフォームして貸す事業者に、国の優遇融資が入るというのは本当ですか?
本当です。国土交通省が2027年度予算の概算要求に、住宅金融支援機構への出資金21億円を計上しました。空き家を改修して貸す事業者への低利融資制度を作る方針です。
報道内容を整理します。
- 融資の主体は住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)。財源は政府が拠出する資金の運用益
- 対象は、空き家を改修して子育て世帯や中低所得者向けの賃貸住宅を供給する事業者
- 自治体との連携を重視し、自治体のまちづくりに沿う事業者へ優先的に融資する想定
- 老朽化した公営住宅の改修・賃貸活用も支援の対象
この制度が見ているのは「住宅として、住む人に貸すこと」です。民泊やレンタルスペースへの転用の話として紹介されることもありますが、報道されている狙いは違います。
※出典:時事通信(2026年9月8日)/日本経済新聞(2026年9月20日)
この制度で、まだ決まっていないことは何ですか?
金利・対象の築年数・改修の要件・個人のオーナー様が使えるかは、いずれも未定です。制度の枠組みは2026年末までに固める段階です。
現時点で「使えます」と言い切れる情報は出ていません。特に読み取れないのが、個人が相続した実家をご自身で改修して貸す場合に対象となるのかです。制度の文言は「事業者」です。
枠組みが公表され次第、本記事を更新します。
なぜ「直せば貸せるのに直せない」が起きるのですか?
築古の木造住宅は建物の評価が伸びず、改修費に融資がつきにくいためです。結果として、自己資金を出せる方しか動けません。
国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査(2025年8月公表)では、空き家の約6割が相続で取得されています。その7割超が1980年以前の建築です。日本の空き家の中心は「親から受け継いだ築40年超の家」で、詰まり方は共通しています。
- 直せば貸せる状態なのに、改修費に融資がつかない
- 壊すと住宅用地の特例が外れ、固定資産税の負担が上がる
- 動かせないまま固定資産税だけを払い続ける
壊す方向にも進めません。同じ調査では、空き家として持ち続ける理由の2位が「解体費用をかけたくない」(約47%)です。1位は「物置として必要」(約56%)でした。直すお金も、壊すお金も出せない。これが築古の空き家が動かない構造です。
今回の制度が手を入れるのは、この一番目です。壁の場所としては、正しいところを突いています。
制度を待つ間に、やっておくことはありますか?
名義・残置物・境界の3つを片づけておくことです。制度が始まっても、この3つが止まっている物件は申し込みの手前で動けません。
- 名義を今の代に直す:祖父母の代で止まっている家は珍しくありません。相続登記は2024年4月から義務化されています。名義が揃わなければ、貸すことも売ることもできません。改修費の融資も、まず通りません
- 残置物を出す:家財が残ったままでは、賃料査定も改修見積もりも精度が出ません。ご家族の感情が絡んで一番時間がかかる工程なので、最初に着手することをおすすめします
- 境界を確認する:戸建ての場合、境界標が失われていることがあります。売る判断に切り替えたときに、ここで数か月止まります
この3つは、制度が使えても使えなくても、貸す・売るのどちらを選んでも必要になります。だから先にやる価値があります。
貸すことを選ぶと、税制で変わることはありますか?
あります。相続した家を売る場合の特例には、貸すと使えなくなるものがあります。貸す・売るの判断は、税理士への確認とあわせて進めてください。
代表的なのが、相続した空き家を売却したときの譲渡所得の特別控除です。この特例には、相続の時から売却の時まで事業・貸付け・居住のいずれにも使っていないことという要件があります。一度貸すと、この選択肢は消えます。相続人が一時的に住んだ場合も同じです。
期限は2つあります。2027年12月31日までと、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。早いほうが期限になります。建築時期や譲渡価額などの要件もあるため、使えるかは個別の確認が必要です。詳しくは貸すと3,000万円控除はどうなるかで整理しています。
弊社では、領収書や契約書の取りまとめまではこちらで対応し、税務の判断は提携税理士へお繋ぎする分け方をしています。
A‑Lifeはこの制度をどう見ていますか?
賃貸管理を本業とする会社にとって追い風になる制度だと考えています。弊社は、相続した築古戸建・空き家の領域にこれから本格的に取り組みます。
弊社はこれまで、東京都心の区分マンションと海外赴任中のオーナー様の管理を主力としてきました。管理を任せていただいているオーナー様の多くが海外赴任中です。
そのうえで、築古戸建に取り組む理由が2つあります。
1. 東京は、家賃が改修費を吸収できる
同じ内容の改修でも、回収できる家賃は地域で大きく変わります。地方では成り立たない工事が、都心や近郊では成り立つことがあります。
逆に言えば、立地によっては「貸さない方がよい」という結論も普通にあります。改修費を家賃で回収できない物件を貸しても、修繕が出るたびに持ち出しが増えるだけです。弊社は勧める前に、その物件で数字が合うかを先に見ます。
2. 築古の戸建は、断られやすい
築古で価格の低い物件は、手間がかかるわりに手数料が小さくなります。これが、相談先が見つかりにくい理由です。
弊社は、こうした物件でもまず現地を見たうえで判断をお伝えします。見たうえで「貸すのは難しい」という結論になることもあります。それでも、写真と住所だけで結論をお伝えすることはしません。
貸す以外の出口もご相談ください。貸した場合の想定賃料、売った場合の見込み額、買取の場合の金額を並べてお伝えします。そのうえで決めていただけます。
貸す・売る・買い取ってもらうのどれが合うかは、相続した実家の3択の決め方で詳しく整理しています。
まとめ
2027年度に始まる方向の優遇融資は、築古不動産の最大の壁に手を入れるものです。「改修費にお金がつかない」という点に、初めて政策金融が入ります。狙いどころは正しいと考えています。
ただし、現時点で決まっているのは方針だけです。金利も要件も、個人が使えるかも未定で、枠組みが固まるのは2026年末です。「制度を待つ」という判断は、今は得策ではありません。
やるべきは、名義・残置物・境界を片づけて、動ける状態を作っておくことです。この準備は、制度が使えても使えなくても、貸す判断でも売る判断でも必要になります。制度が始まったときに動けるのは、準備が終わっている物件だけです。
よくある質問
Q1:個人が相続した実家でも、この融資は使えますか?
A:未定です。報道されている対象は「事業者」で、個人が使えるかは枠組みが固まる2026年末以降に判明します。
Q2:いつから申し込めますか?
A:2027年度に開始する方向です。概算要求の段階のため、時期が動く可能性があります。
Q3:築何年まで対象ですか?
A:公表されていません。築年数の要件が設けられるかも未定です。
Q4:貸すのと売るのでは、どちらが得ですか?
A:立地と物件の状態で結論が変わります。家賃が改修費を回収できる地域かどうかが分かれ目です。
Q5:家財が残ったままでも相談できますか?
A:できます。残置物がある状態でのご相談が、むしろ一般的です。片づけの順番からお伝えします。
Q6:東京以外の物件でも相談できますか?
A:弊社の対応エリアは東京都心とその近郊です。エリア外の場合は、その旨を最初にお伝えします。
Q7:相続登記が済んでいませんが、間に合いますか?
A:相続登記は2024年4月から義務化されています。施行前に発生した相続にも適用され、その場合の期限は原則2027年3月31日です(相続を知った日が遅ければ、そこから3年)。名義が止まっていると貸すことも売ることもできないため、最優先で進めてください。
使えるかどうか、一緒に確認します
制度が使えるかは、建物の状態と時期によって変わります。お手元に資料がなくてもかまいません。
ご相談・査定は無料です。
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